禮(礼) / Kio estas "Li"

昭公25年(B.C.517)

子大叔見趙簡子.簡子問揖讓周旋之禮焉.對曰.是儀也.非禮也.簡子曰.敢問何謂禮.
對曰.吉也聞諸先大夫子產曰.
夫禮.天之經也.地之義也.民之行也.天地之經.而民實則之.則天之明.因地之性.
生其六氣.用其五行.氣為五味.發為五色.章為五聲.淫則昏亂.民失其性.是故為禮以奉之.
為六畜.五牲.三犧.以奉五味.為九文.六采.五章.以奉五色.為九歌.八風.七音.六律.以奉五聲.為君臣上下.以則地義.為夫婦外內.以經二物.為父子.兄弟.姑姊.甥舅.昏媾.姻亞.以象天明.為政事.庸力行務.以從四時.為刑罰.威獄.使民畏忌.以類其震曜殺戮.為溫.慈.惠.和.以效天之生殖.長育.民有好惡喜怒哀樂.生于六氣.是故審則宜類.以制六志.哀有哭泣.樂有歌舞.喜有施舍.怒有戰鬥.喜生於好.怒生於惡.是故審行信令.禍福賞罰.以制死生.生.好物也.死.惡物也.好物樂也.惡物哀也.哀樂不失.乃能協于天地之性.是以長久.簡子曰.甚哉禮之大也.對曰.禮上下之紀.天地之經緯也.民之所以生也.是以先王尚之.故人之能自曲直以赴禮者.謂之成人.大不亦宜乎.簡子曰.鞅也.請終身守此言也.

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鄭の子大叔(游吉)が趙簡子に会うと、簡子は揖讓(挨拶)や周旋(挙止 きょそ)の礼について質問した。子大叔が、「これは儀であって、礼ではありません」と言うと、簡子は、「では礼とは何かを教えていただきたい」。
子大叔は答えた。「吉(わたくし游吉)は先大夫の子産(しさん)からこう聞いています。

すなわち、礼は天の経、地の義、民の行であると。これは天地の経(規範)に民が則る(のっとる)、つまり、天の明(日・月・星辰)に民が則り、地の性(高下・剛柔)に因う(したがう)ということ。
(天地が)生ずるのは六気(陰陽・風雨・晦明〔かいめい〕)、用(はたらき)は五行(金・木・水・火・土)。気は五味(酸・鹹〔かん・しおからい〕・辛・苦・甘)となり、発しては五色(青・黄・赤・白・黒)となり、章れ(あらわれ)ては五声(宮・商・角・徴・羽)となるが、度を越すと、混乱し、民は本性を失う。そこで礼を定めてそれを遵守させたのです。
六畜(馬・牛・羊・鶏・犬・豚)・五牲(麋(おおしか)・鹿・麞(くじか)・狼(おおかみ)・兎(うさぎ)。または、牛・豕(いのこ)・羊・犬・鶏。)・三犠(牛・羊・豕(ぶた))を定めて五味を遵守させ、九文(文様)・六采(色彩)・五章(配色)を定めて五色を遵守させ、九歌・八風・七音・六律を定めて五声を遵守させたのです。
〔さらに〕君臣・上下を定めるには地の〔高低の〕義に則り、
夫婦・内外を定めるには〔陰陽の〕二物に法り(のっとり)、
父子・兄弟・姑姉・甥舅・姻戚を定めるには天の明(星辰)に象り(かたどり)、
政策・管理・行動を定めるには四季に従う。
厳格な刑罰で民を畏れしめる点は、雷電の恐ろしさに類し、
温和に恵む点は、天が万物を生殖・化育せしめるに效う(ならう)。
民の好悪・喜怒・哀楽は六気(陰陽・風雨・晦明)から生ずるゆえ、則るべきものを審か(あきらか)にし、それぞれに応じて〔好悪・喜怒・哀楽の〕六志を制御する。
哀しみには哭泣の定め有り、楽しみには歌舞の定め有り、喜びには施捨の定め有り、怒りには先頭の定め有り。
喜びは好みより生じ、怒りは悪み(にくみ)より生ずるゆえ、行動を審かに慎み、指令には信あらしめ、禍福・賞罰によって〔民の〕死・生を制御する。
生は人の好むもの、死は人の悪む(にくむ)もの。好むものは楽しく、悪むものは哀しい。哀と楽とが〔礼によって〕度を過ぎなければ、天地の本性と調和でき、それによって永続できるのです。

簡子が、「たいしたものですね、礼のはたらきの宏大さは」と言うと、子大叔は、

「礼は上下の紀綱、天地の経緯、民の生きる拠り所ゆえ、先王はこれを尊崇されました。そこで自らを調整して礼に到達できる人を、成人とよぶのです。宏大なのも当然ではありませんか。」


参考
http://kaburen.com/reihou.html