2025年参院選

2025年の参院選は、現役世代の明日の手取りを増やす、外国人と高齢者は退場もしくは身をわきまえろ、日本に生まれてよかった、日本よい国・つよい国、と思えるようにする、つまり日本人の現役世代に居心地の良い日本にする、と訴えた政党が躍進した。
政権党は現役日本人にとって、日本を居心地悪くしている張本人ということなので、「現状で、まぁいいか」という票はもらえなかった。これは重要な結果ではあったと思う。
「手取りを増やす、居心地のいい国にする」というのではなく、大企業に応分の負担をさせて消費税を下げる・社会保障費を増やす・軍事費を抑制する・平和憲法を守るなどなどとごちゃごちゃ言っていた政党は、手取りを増やしたり居心地のいい国にしたという実績の実感がないと見なされたのか、政権党が議席を減らしたのに伸び悩んだか、あるいは議席を減らした。
維新は昔は「維新八策」とか野党も与党もダメ!と訴え、議員報酬を減らすとか教育無償化とか言って選挙では目新しい時期があったが、すっかり陳腐化してしまったのか、または議員の不祥事が多すぎたのか、非正規労働者の多い層に「教育無償」と言っても響かなかったのか、とにかくパッとしなかった。
中身は無茶苦茶だってリ薄かったりしても、とにかく「良い日本にします! 日本人が主人公の日本にします! 手取りを増やします」という言葉が有権者を掴んだ。「消費税を下げます、平和憲法を守ります」という掴みはつるっとすべったのだろう。
香川杏はどこに投票したのだろうか

annokoto.jp
映画「あんのこと」をふと思い出した。杏は家を出てからも、自分の現在や将来については不安定で、あまり先々のことは考えないようにしているか、考える余裕や基礎知識に欠けているように想像する。コロナが流行れば雇用者に悪気がなくても真っ先に切られてしまう非正規・無資格・無教養のバイトさんである。社会のことを話す友だちもいない。新聞も読まないしテレビも見ない。(杏がスマホで動画を見るシーンはなかったように思うが)
杏が生きていて、いつも投票には行かないけれど、こんどの参院選に興味をもったとしたら、どこに投票しただろうか。
あまり有権者をバカにしてはいけないけれど、あのアイドルのコンサートのような支持者の「熱心」ぶりを見ていると、杏も今回伸びた政党に投票したんじゃないかと思う。
有権者の利害をその政策が代表しているからといって、有権者がそのことを理解するわけではないし期待するわけではない。
有権者は「少しでも安心できる居心地の良い暮らし」と理解できる「政策」ではなく「ことば」を求めているのかもしれない。
だから、「核武装とか台湾有事を煽ったりとかすると大変だ」とかいう警告はいくら正しくても、今回伸長した政党に投票するような有権者が求めていることと違うし、「高齢者や外国人を叩いても人生は良くならない」と言っても、彼らは高齢者が慎ましくなったり外国人が縮こまってペコペコするところを見てみたい、そういう心情なのかもしれない。
現役世代が「生きるために義務を(必死に)果たしている」のに、高齢者や生活保護受給者が(大きな顔をして)「(何もしないで)生きる権利を主張する」のが我慢ならないのかもしれない。
人間の尊厳の確保は全世代に
世話をしている高齢入所者が「排泄の世話を他人にさせてしまうようになった自分は生きる価値もない、迷惑な存在」であると漏らし、介護労働者も虚しさに耐えられなくなり退職したという、アカウントがXにあった。もちろん当該のアカウントの人物は無価値な高齢者の介護をしていることに虚しさを感じたのではなく、その高齢者の自己否定的な感情や介護労働の尊厳のなさに耐えられなくなったということだろうとは思う。
現役世代が「日本に生まれてよかった」と思える生活は、医療や介護を低処遇にしたまま軍事的に隣国と張り合うことで実現できるんですか?