エスペラントの文法

城戸崎益敏『エスペラント第一歩』(白水社、1950年)より。
書名のリンク先は国立国会図書館で、無料で読める。

エスペラントの十六条文法

論理的・組織的・且簡明なエスペラント文法煩雑な外国語文法
発音一つの字に一つの発音。
一つの発音に一つの字。
書いたとおりに読み、読むとおりに書けば良い。
英語等では一つの字に幾つもの発音。一つの発音に幾通りもの書き方がある。その他黙音等厄介千万
アクセント
揚音
揚音は常に最後から二番目の音節。
[例] ta-ba-ko ターコ と ba に揚音。
英語では一語一語アクセントを覚えなければならない。
冠詞不定冠詞なく、定冠詞 la (あの・例の)があるのみ。性・格・数により変化しない。独・仏語等では名詞はすべて性をもっている。
又冠詞・形容詞等は総て名詞の性・格・数によってそれぞれ変化する。仏語では形容詞は位置によって意味も変わる。
名 詞
形容詞
副 詞




語尾一定 ┏ 名 詞……o amiko 友
語尾一定 ╋ 形容詞……a bona 善い
語尾一定 ┗ 副 詞……e bone 善く
形容詞の位置は名詞の前後自由。
複 数語尾 j (軽くイと発音する)をつける。
[例] bonaj amikoj 善い友達。
  [ボーナィ アミーコィ]
単複全く異なって、見分けのつかぬものさえある。
目的格語尾 n をつける。目的格の位置は自由。
Mi havas tabakon. 私は煙草を持つ。
英語等目的格の位置固定していて自由にならぬ。
代名詞mi(私)vi(貴方)li(彼)ŝi(彼女)等10語。所有格は mia(私の)と a を添加。独語等は名詞の性・格・数によって複雑な語尾変化をなす。
動 詞─as(現在)─is(過去)─os(未来)……等12の組織的な語尾を覚えれば、複雑な時・仮定法・受動形等総ての場合を表し得る。語尾は動詞の種類・主語の数・性により変化しない。フツ語等一つの動詞について数十の変化を覚えねばならぬ。大抵の学習者は之で参って放棄してしまう。英語の仮定法・話法も厄介。
数 詞unu, du, tri(一二三)……等基本12語。読み方は9,999迄日本式の順序。仏語では97を呼ぶに 4✕20+10+7 と面倒な呼び方をする。
造 語⑪  ⑯語尾のつけかえ、接頭辞・接尾辞の添加、語と語の組合わせ等の方法により、論理の許す限り自由に造語できる。
[例] mal は反対 → malamiko 敵
国際的な語は telefono(電話)の如くエス語式に書き綴って使用できる。
外国語では造語は唯慣用によるので、ある部分に通じるからといって他に応用して自由に造語する事等は許されぬ。
前置詞
前置詞は総て主格を支配。各前置詞は一定の意義を持つ。但融通性のある意義不定の前置詞として je がある。
移動方向移動の方向を示すには目的格語尾 n をつける。
語尾書略詩歌では冠詞 la の a (l'〔と書く〕)、名詞の語尾 o を省略し得る。
否 定他の否定語があれば別に否定の語 ne を用いない。〔二重否定などの言い回しは別〕