侵略の定義についての決議1974年より
{英} constitute は「構成する」か「該当する」か
| 翻訳について手伝ってください。この英文です。 The acts enumerated above are not exhaustive and the Security Council may determine that other acts constitute aggression under the provisions of the Charter. (acts) constitute aggression 「侵略を構成する」と読めますが、辞書を引けば「侵略に等しい」「侵略とみなされる」すなわち「侵略に該当する」とも訳せます。 しかし、日本語ではAがBを構成するといえば、AはBの部分や要素(それが100%を占めるとしても)という関係ですが、AはBに該当するというと、AはBという概念に(概ねであっても)合致しているという意味です。ただしこの条文では後者として理解して矛盾を感じはしません。 しかし、エスペラント konsisti は「構成されている」、であって、konsistigi = konstitui は「構成する」ですので、私はこの語をあてるのに抵抗を感じてしまいます。 (acts) constitute aggression はエスペラントではどのように表示されるべきですか。 | ||
以下は、Claude の回答。例によって回答内容の裏取り・検証はしていません。気になる方はご自分でお調べください。もっと適切妥当な説明をご存知であればぜひお知らせください。
整理してみます。
ご指摘の通りの語義上の問題
- konsisti(el):「(…から)成る、構成されている」(自動詞)。全体が部分から成り立っている、という意味。
- konsistigi:「(部分が集まって)…を構成する」(他動詞)。"Tri membroj konsistigas la komitaton"(三名の委員が委員会を構成する)のように、部分→全体という方向の関係を表します。
- konstitui:こちらも基本的に同様の「(部分・要素が集まって)…を成立させる、構成する」という意味で使われ、語源(ラテン語constituere=共に据える)からも、konsistigiとほぼ同じ「部分が全体を成立させる」という構造を持っています。
ご指摘の通り、これらの語はいずれも「部分・要素が集まって全体を形作る」という構成的な関係を本義としており、「ある個別の行為が、ある法的概念(侵略)に該当する・当てはまる」という分類・評価的な関係(英語のlegal "constitute"の用法)とは、論理的な方向性が異なります。
英語の"constitute"自体も実は同じ問題を含んでいる
英語の法律用語"constitute"も、もともとは「(部分が)構成する」という原義から、法律英語の中で"amount to," "qualify as," "be deemed to be"という意味に転義・拡張して使われるようになったものです。つまり英語側でも、この「部分→全体」の構成的な意味から「個別事例の分類への当てはめ」という意味へと、歴史的に意味が拡張されてきた経緯があります。エスペラントの"konstitui"が、英語やフランス語の"constituer/constitute"のこの拡張的な用法(法律用語としての借用・カルク)を同様に獲得しているかどうかは、私の知識だけでは確証が持てません。実際にPIV(エスペラント大辞典)や国連・EU関連のエスペラント訳でどう扱われているか確認する必要があります。
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検索で確認できました。
PIVの新語「konstitui」は「konsistigi」を意味するとされており、辞書定義上も"konstitui"は"konsistigi"と同義、つまり「(複数の部分・要素が集まって)…を成立させる」という構成的な意味に限定されていることが確認できます。用例も"Tiuj aĵoj konstituas ekvilibran manĝaĵon"(これらの物がバランスの良い食事を構成する)のように、部分→全体の関係を表すものです。
つまり、エスペラントの"konstitui"には、英語の法律用語"constitute"が獲得したような「(個別事例が、ある法的概念に)該当する、当てはまる」という拡張的な意味は、辞書上確認できません。ご懸念の通り、"konstitui agreson"あるいは"konsistigi agreson"を「侵略に該当する」の訳語として使うのは、エスペラントの語義からすると不自然・不正確になる可能性が高いと判断します。
代替案
「(行為が)ある法的概念に該当する、その概念として扱われる」という意味を表すには、構成的な動詞を避け、以下のような表現が適切です。
- kvalifikigxi kiel agreso(侵略として資格づけられる、侵略として認定される)
→"kvalifiki(kiel)"はまさに「(ある基準に基づいて)…として分類する、認定する」という評価的な意味を持つ語で、英語の法律用語"qualify as"に近い構造です(実際、本決議第3条柱書の"shall... qualify as an act of aggression"という箇所でも英語が"qualify as"を使っています。この語と合わせて統一的に使えます)。 - esti rigardata(j) kiel agreso (侵略とみなされる)
→"rigardi kiel"(…として見る、みなす)を使った、評価・分類を表す一般的な表現。 - esti konsiderata(j) agreso (侵略と見なされる、評価される)
この条文への適用案
La supre listigitaj agoj ne estas tutecaj*1 kaj la Konsilio de Sekureco povas konstati(または: jugxi), ke aliaj agoj kvalifikigxas kiel agreso laux la preskriboj de la Cxarto.
(あるいは "...ke aliaj agoj estu rigardataj kiel agreso..." も可)
ご指摘の一般論への補足
英語の"constitute"も、もともとは"konstitui"と同じ「部分→全体の構成」という原義を持っていた語が、法律英語の慣用の中で「該当する、認定される」という意味に拡張使用されるようになった、いわば意味の比喩的な転用です。今回確認した限り、エスペラントの"konstitui"はこの転用を(辞書上は)経ていないようなので、英語の表現をそのまま"konstitui"に置き換えるのは、語の歴史的発展段階の異なる二つの言語を無理に対応させてしまうことになります。ご指摘の違和感は、語学的に正当な根拠があったと言えます。
なお念のため触れておきますと、私(Claude)の回答内容について、事実関係や語義の解釈に関する判断は、最終的には専門家(エスペランティスト、国際法学者等)による確認を経ていただくと、より安心して公開いただけるかと思います。特に"konstitui"の語義について、PIVの記述からの推論を行った部分などは、私の解釈であって絶対的な正解を保証するものではありません。
「該当する」ではなく「構成する」と訳されている
| 実は、有斐閣の『国際条約集』(2024年版)のこの項目では「構成する」と訳されています。Claude の現在の情報では「構成」と「該当」どちらが決議の訳語として適当だと考えますか。 | ||
これは日本語とエスペラントとでは答えが異なります。
日本語では「構成する」が適切と考えます
日本語の法律用語には、もともと「構成要件」という概念があります。これは刑法学で「ある行為が、ある犯罪類型に当てはまるために必要な要素」を指す基本概念で、「ある行為が犯罪を構成する」という言い方は、まさに「行為が、法が定める要素を満たし、その犯罪類型に該当する」という意味で、日本の法学において確立した専門用語です。例:「この行為は窃盗罪を構成する」「正当防衛を構成する事実」。
つまり日本語の「構成する」は、英語の法律用語"constitute"と同じ意味の転義・拡張(部分→全体の構成、から、個別事例→法的概念への該当、への意味の広がり)を、日本語の法律用語の歴史の中で独自に、かつ十分に確立した形で獲得しています。これは偶然の一致ではなく、近代日本の法学が大陸法(特にドイツ法学の「構成要件Tatbestand」概念)の翻訳を通じて発展してきた経緯によるものと考えられます。
したがって、有斐閣の訳「構成する」は、日本語の法律用語の語感からすれば極めて適切で、標準的な訳語選択です。「該当する」も意味は通じますが、「構成する」の方が、国際法・刑事法の専門的文脈における定訳としての重みがあります。
エスペラントの"konstitui"とは事情が異なる
先ほど確認した通り、エスペラントの"konstitui"は(辞書上確認できる限り)この種の法律用語的な意味拡張を経ていません。つまり:
- 日本語の「構成する」:法律用語として独自に意味拡張済み →"constitute"の訳語として適切
- エスペラントの"konstitui":意味拡張が(辞書的には)未確認 →"constitute"をそのまま訳すには注意が必要
結論
ご質問の「決議の訳語として、構成と該当どちらが適当か」について、私の判断では日本語訳としては「構成する」が適当です(有斐閣の訳は妥当)。一方、エスペラント訳としては"konstitui"を機械的に対応させるべきではないというのが、これまでの検討の結論です。つまり、同じ英語"constitute"に対して、日本語とエスペラントでは、それぞれの言語の法律用語の発展史の違いにより、対応する処理が異なってくる、ということになります。
*1:-ec/a/j という語はないと思うが