北海道の一週間 1999.06.21

2日目は約300km走ったらしい。

さて3日目
摩周温泉国民宿舎は、温泉で・かつ・安かったので、我々は満足した。食事にフキが出たので笑ってしまった。フキなんてどこにでも生えているのにね。
宿を発つとき、露天風呂の作業現場を見せてもらった。監督らしきおじさんが、
 「おれが設計図もなしで、思いつきでつくったんだぁ!
  あんたら、今晩から入れっから、また泊まれ」
という。なかなかいい露天風呂なので、できればそうしたいところだが、そうも行かない。
さて、弟子屈発で屈斜路湖摩周湖をどう回るかは難問だ。一筆書きのようにはいかない。時間のことも考えると、どうしてもピストン走行のところが出てくる。
われわれは、まず美幌峠を目指した。南から美幌に登って屈斜路湖を観てまた美幌峠を下りてきて屈斜路湖の南をグルリと回って摩周湖の第3・第1・裏摩周と廻る予定なのだ。
弟子屈から美幌を目指す道は、とっても気持ちがいい。すっかり晴れている。あれこれの写真にある、あの坂とワインディングを体感しながら峠に到着。

観光バスもなく、ぱらぱらと乗用車の観光客とライダーが一人。われわれが展望台のほうに歩いていくと、
 「撮りましょうか?」
とライダー氏(BMWだったか?)が声を掛けてくれた。お礼を申し上げると、
 「いやぁ、同じライダーですから!」

BMW氏の持っているカメラでの撮影を申し出たが照れくさそうに「いいんです、いいんです、僕は写りたくないんです」とおっしゃってことわった。美幌からみる朝の屈斜路湖の姿は、雑誌の写真の通り・そして写真以上にすばらしかった。われわれは、美幌峠の下りの味わった後、和琴半島で温泉を見学したり、砂湯を指さしたりしながら、いよいよ摩周湖第三展望台に向かうのであった。

3日目続き


美幌峠から摩周第3展望台まではかなり時間がかかった。30kmくらいと地図ソフト(自宅に帰ってパソコンに入っている)では出てくる。しかし、退屈はしない。国道391号から摩周の外輪へと登ると、硫黄山屈斜路湖の中島やらの山々がはっきり見える。幸い、すっきり晴れている。(硫黄山には行かなかった。)

 いよいよ、摩周第3展望台。10:00頃だったか、この頃になると観光客も多く、バスもだんだん増えてきた。われわれが行った摩周の展望台の中では、ここが一番良かった。摩周湖の美しさは、ただただ美しく・神秘的で、適切な形容のしようがない。第1展望台はバスと観光客が多かった。ここは展望台から観るより、売店の裏から観た方がきれいだと思われた。ただし、夏至の週で太陽がほとんど真上に登ってしまった上によく晴れていたせいかもしれない。第1展望台から裏摩周展望台までは約50kmで、しかもいったん摩周湖からずいぶん離れなければならない。道道150号を北上し、スノーシェルターを抜けてすぐ左だ。ここは人もまばらで、環境は良かった。しかし、展望台の前に木が茂り、また、太陽も逆光ぎみで湖面がギラついて、残念だった。


Out Riderやマップルをよく見ると「神の子池」というのが出ている。以前NHKでも放送していた(?)池である。
是非ここに行ってみたかった! 
地図で裏摩周からの距離を確認して、ダートの進入口をさがす。きれいな標識があるので迷いはしないが、ダートの入口のそれは、標識が道の反対側にあったような気がする。つまり、左に曲がるのに、右手に看板が出ていたような。見つけたとばかりにダートを進む。やや登りの道を、ポクポク進む。ここはけっこうジャリが大きめで、溝も深い。タイヤは大丈夫かな~? と思った頃に結構広い駐車場に出た。ここに駐車。車は2台来ている。
池らしき方へ進むと、ザアザアと水が流れている、ただの澄んだ池というか、川の溜まりというかそういうところだった。
 「おっかしいな~? もっと奥かな?」
と進むと、その池の上流にあった。まさに神の子池。摩周を掬ってここに置いたような、きれいな池で、本当に水が青い。



気がつくともう、2時を過ぎていた。




3日目

神の子池を後にして、われわれは、今度はライダーの聖地北海道のライダーのメッカとも言うべき開陽台を目指した。
個人的には北海道は、
 開陽台
 釧路湿原
 神の子池
の3ヶ所さえ回れればあとは中途半端でも良いとさえ思っていたのだ。
しかし、開陽台への道はひたすらひたすら真っ直ぐで、ややうんざり気味。オケツはどんどん痛くなるし、げんなりしていると、左前方にそれらしき施設が見える。
 「ああっ! あれや・あれや!
  あれが開陽台やねん! 
  あれに行きたかってん!」
と関西弁丸出しで叫ぶ私。
開陽台へ曲がる交差点は標識がわかりにくくて、一度は通り過ぎてしまうが、開陽台も後方へ行ってしまうので、やっぱりあそこを曲がるんだ、と引き返して開陽台へ!
「地球が丸く見える!」 て、どっちかって言うとぺしゃんこなのだが、これがまた釧路湿原の展望台からみる遠景とは違って良い良い! 湿原の展望台は遙か遠くの方に山や街が印象派の絵画のように薄く望めるのに対し、開陽台のは、遙か遙かかなたで地平と空とが解け合って線を作っている。 過去の無数のライダーたちが礼拝儀式としてやったであろうように、私もここからのすべてをフィルムに刻むようにカメラを構えた。
まず、(新しい?)開陽台の標識を撮った。そして、展望台に登り、ちょこっとずつちょこっとずつ向きを変えながらパノラマを撮った。そして、近くの人に妻と私と「地球が丸く見える」を撮ってもらった(写真撮ってくれた方、ありがとう!)。


 満足・・・!
ここまで来て、ガイドや写真集で仕入れた最大の欲望を満たされた私たちは、やや呆然となってしまった。 時刻は3:00過ぎ(か3:30頃)である。つぎにどこに行くか、ほとんど考えていなかったのだ。 ホテルガイドはあまり信用できないことがわかったので、こんどは温泉宿のガイドで、羅臼のホテルを選択した。まだどの「岬」にも行っていないし、襟裳には行かなかったから知床くらいは行ってみたくなった。(妻は「熊の湯」を狙っている。) 電話をすると部屋が取れたので、羅臼へと向かうことにした。




3日目④


開陽台を離れてすぐ、これまた有名な道道「北19号」が まっすぐ伸びている。 平面な写真の、あの道がまさに立体的に目の前に展開する。似たような道は開陽台近辺はたくさんあるが、なるほど、 ここ開陽台を出たところからみるこの道は美しい。 真っ直ぐのバウンドしたような道が「美しい」というのも 変かもしれないが、でも「美しい」。不思議だ。 美しい道の光景としては、国道274と道道58号線の交 差点付近から、川を渡り丘を登る国道274の姿もたまら なく良い。われわれは、この交差点では(国道が交差点を 右折しなければならないこともあって、ではあるが)停車 して、しばしこの眺めを楽しんだ。 さて、羅臼に直行するには、開陽台を出発した時間は早す ぎた。食事は摩周湖の展望台の売店で「いもだんご」を食 べ・チョコレートを食べしたので、そんなに腹は減ってい ないが、中標津にある「寿司ロード」は行くなら今しかな い! というわけで、「北19号」直線部分は途中で外れ て「寿司ロード」へ。 「寿司ロード」では「ライダー歓迎」の張り紙があった。 寿司は巻き・いなりを中心に「のらりん・くらりん」と廻っ ている。  「ご注文下さいぃっ!」 と板前さんが言うので、いろいろ頼んでみたが、ホタテと 鮭がやたら大きくて旨かった。 なんとなく、ムーゥと腹が膨れたが、まだ羅臼に行くには 早いな~・・・トドワラとか行ってみようか。ということ で、ビビビビーッとトドワラへ。

もう夕方になっていて、妻は神秘的な感じがする眺めが観 られる場所もあった、と言っていたが、トドマツにも立ち 枯れにもあまり近しくない私は、「ふうん?」。やや気分 も「課題消化」というか「観光地消化」的な感じになって いたためか、それほど感銘を受けることはなかった。 海沿いを走って羅臼に着いたのは18:00少し前だった。




熊の湯

ホテルや民宿、というのはあたりハズレがある。
羅臼のホテルは8千円と1万円と二種類の部屋がある という。
何が違うのか尋ねると料理だと言う。
8千円で不満感を得るより、1万円で仕方が無いな、 という半端ではあっても「充足感」を得たかったので、 1万円の部屋にした。
食事は18:30からなので、すぐ近所の「熊の湯」 に行くことにした。
妻は露天風呂に入ってみたくてた まらないのだ。
熊の湯と「知床国立公園羅臼温泉野営場」とは国道を 挟んで向かい合う形。
「熊の湯」の路肩の駐車場には数台の車が停まってい て、峠の方を向いて左側に国道に沿って流れる川の方 から温泉の湯気らしきものが立ち登っている。硫黄の 匂いがする。 私はこの手の露天風呂に入るのは初めてなので、やや ビビリながら橋を渡って脱衣所へ。
湯船には地元の人たちが7~8人も居て、がやがやと 喋りながら湯に浸かったり、体を洗ったりしていた。
 「おぉ、だいぶ良くなってきたな」
 「ん、あぁの観光客は水みたいなんに入って、ありゃ温泉じゃない」
 「そぉだァ! ぬるいとな、なんかヌルヌルしてな」
会釈して湯に浸からせてもらったが熱いのなんの!
徐々に肩まで浸かったが、浸かってしまうと気持ちが いい。でも、やっぱり長時間は浸かれない。 縁に腰掛けて涼んでいると、体格の立派な、街で出会 うとちょっと鬱陶しそうなオジサンが
 「さっきはすんませんでした」(オジサン)
 「おぅ、きにすんな、な」(地元)
というやり取りをして出ていった。熱いから水を入れ てくれとか言ったのかな?
風呂から上がって服を着ながら、先にあがった地元の おじさんに聞くと、彼が知っている民宿なら4、5千 円でカニをいっぱい食わせてくれるのだそうだ。また ここらのホテルは、近所で道路工事や建築があると、 作業員の人を一泊1,500円くらいで長期に泊める ということらしい。
ホテルの選択を誤ったのかな~?
熊の湯を出たところで待ち合わせた妻は、
 「とっても熱かったけど、まだぬるいからって、地元のおばさんたちがもっとお湯をいれようとするの!
  気持ちよかったけど、もう長く入れないから出ようとすると、もうあがるの? って聞かれるのよ。
  これ以上居るとゆでだこになっちゃう」
ホテルの8千円と1万円との差は、どうやら「カニ」 の有無であるようだった。

ホテルの温泉は熱いのだが、さっきの「熊の湯」とはち がって、モノ足らなかった。
私は「熊の湯」でヒリヒリやけどした足を気にしながら、 温泉の硫黄を嗅ぎつつ、床に着いた。





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