エスペラント語(Esperanto):記事とリンク

■ エスペラント語(Esperanto)とは

エスペラント語は、1887年にルドヴィコ・ザメンホフが発表した国際補助語です。日本語を母語とする人にとっても学びやすい規則的な文法を持ち、現在も世界各地で使われています。エスペラント語は、国境を超えた共通語によって、人びとの相互理解を容易にし、ひいては争いごとのない地域・世界を実現したいという意図で創られました。このブログでは、エスペラント語そのものを紹介することよりも、エスペラントを手がかりに、平和、人権、国際法、歴史、哲学、健康など、世界のさまざまな問題を考えたり調べたりすることを主なテーマとしています(結果的にですが)。
特に21世紀に入っても戦争が絶えないことや経済格差・貧困問題が解決していないことから、最近は平和と国際人権法にかかわる事柄を紹介しながら、それらは「世界共通語」エスペラントならどのような単語を使うのだろうか、などということも探っています。重要な条約などを少しは蓄積してきたと思うので、検索してみてください。原文や訳文、原文や訳文へのリンクなどが見つかるかも知れません。
なお、バイク・ツーリングや面白そうなことも時々は書くようにしています。(2026.08記)

■ エスペラント語を学んでみたいと思う方、エスペラントについて知りたい方へ

〇エスペラント入門のためのリンク集
〇「ザメンホフ伝」(いつのまにか再掲載されていて良かった)
エスペラントについてよくご存じでない方はまずは「エスペラント」語の考案者の伝記、「ザメンホフ伝」をお読みください。

■ このブログの中の記事(主に対訳。ただし拾ったものの組み合わせ)

対訳のタグを押してみてください。

■ ネット辞書

■ エスペラントのブログなど

■ 団体など

■ ツール


■ 国連やその他の国際的な組織や機構

■ バイクツーリング・その他

■ エスペラントの動画を集めたリンク集サイト
■ エスペラントの読み物など
■ その他

*1:作者の「X」のアカウントは、@catnose99さんで、開発のきっかけなどは、こちら。Catnose99さんが運営している他のサイトは、こちらしずかなインターネット。

高く澄んだところへ

前史

以前、トランザルプで、まだ小学生だったと思うが、娘をタンデムで四国に連れてきたことがあった。
あのときは金曜の夕方に名神から阪神高速に乗り、ということは高速二人乗りOKになったあとか、須磨(たぶん須磨水族館の道を挟んで斜め向かい)のビジネス旅館に1泊。朝8時位発の神戸高松間小豆島経由のジャンボフェリーに乗った。この時も神戸港が特定できず、すごく走り回って間違えて、もうフェリーは諦めようかと思ったほどだった。
ジャンボフェリーは客室が雑魚寝で朝から乗客の多くが寝ている不思議な光景。我々は精神年齢が幼いのでデッキに出たり。
デッキにはヤノベケンジ氏のトらやんとかいう黄色い宇宙服の像が邪魔なところに設置してあった。2013年頃らしい。よく似た像が阪急南茨木駅前にある。南茨木駅のはヘルメットを脱いでいるが、船のは被っていたと思う。


高松港で降りてうどん屋に入るも子はすぐに肉うどんを注文してしまい、トッピングに目もくれぬ。
丸亀製麺とやらは行ったことがないが、まだ出てないかそんなに有名じゃなかった頃だろうか。香川のうどんは安いと聞いていたがトッピングすれば高くなっていくし、悪いけど「うどん」じゃん。

金毘羅さんに詣でて、国民休暇村讃岐五色台に一泊。翌日はどこに立ち寄るということもなく、愛媛で2番目にうまいというラーメン屋で食べて、オレンジフェリーで帰った、気がする。


次はコロナの後期。娘とタンデムでだがForzaSiで、大洋名門フェリーで門司に行き秋芳洞から広島経由、宮島大混雑で愛媛にわたることを思いつき、音戸の瀬戸を通る石崎汽船のフェリーで愛媛に。しまなみ海道を少しうろついて、オレンジフェリーで帰った。フェリーは行きも帰りも個室で、雑魚寝の静かな場所取りはなくなっていた。
このとき暗くなっても東予港をなかなか発見できず、すごく焦った。


後で四国カルストはどうでしたか、と訊かれたか、調べたか。
さっき秋吉台を走ってきたばかりじゃんと思ったが、四国カルストは凄いらしい、とはじめて知った。

単語 postul/i その3

Postuli の目的対象物を主語とした書き換え

Blanka_Meduzo
各位

Mi postulas monon de li.

この文を Mono を主語に受け身文に変換できますか?
「単語 postul/i 」

https://x.com/Blanka_Meduzo/status/2102166052125934034

日本エスペラント協会 Japana Esperanto-Instituto @jeiofic
頭を悩ませ別解をつくりました

Mono estas postulata de li fare de mi.
私により、資金は彼からの移動要求を受ける。

わかりにくいですが、de が寄越す、fare de がpostul' が能動の場合の主語を導くとわかるので、ゆっくり読めば誤解はないです。

普通は Monon mi postulas de li. で済ませます。

https://x.com/jeiofic/status/2102464770297520403

日本エスペラント協会 Japana Esperanto-Instituto @jeiofic
なお、fareをなくして Mono estas postulata de li de mi. としても正解ですがもっとわかりにくく、実用性は非常に低くなります。誤解されても文句は言えません。li と mi がそれぞれ、意味のややちがう 2つの de に導かれるからです。
このことは古くから気にされ、

https://x.com/jeiofic/status/2102466670120067421

@jeiofic
イド語では Mono esas postulata da me de il. としました。
da が受動態を作る本来の主語、de が出発点を示す、とします。所有を示すには di とし、3つを常時区別します。

https://x.com/jeiofic/status/2102468277788426485

@jeiofic
エスペラント文に比べ、イド語の例文で句の順序が da me と de il で入れ替わっていますが、この順序は、区別が付けばどちらでもいいです。エスペラント文でも fare de mi と de li は順序は決まってはいないはずです。英語も from him と by me はどちらが先でもいいはずです。ここは自信がありません

https://x.com/jeiofic/status/2102471193253318986

esti postulata al iu という文

Blanka_Meduzo
la sentemo postulata al artisto

という句(ロゴビスタのエスペラント日本語辞典にある例)を

La sento estas postulata "al" artisto.

という文にしても通用すると思いますが、 ホントは de が"正解"なのですか?

https://x.com/Blanka_Meduzo/status/2102594892891574512

日本エスペラント協会 Japana Esperanto-Instituto @jeiofic
情報伝達で「正解」は相対的なもので、受け取る側が「は?」と言ようなものは結局すべてダメです。「その車は私から盗まれたのです」を古くは「La aŭto estis ŝtelita al mi.」と言いました。ザメンホフの時代から使われ、最近は減ってきたそうですが、まだ通じると思います。

https://x.com/jeiofic/status/2102775046091718754

@jeiofic
誰か盗人がわたし「から」盗んでいるので、しっくりくる前置詞は「de mi」であり、能動文ではそうするのが普通の語感だというのはお分かりと思います。ただ、受動文だと、「私によって盗まれた」とも読めてしまうため、ここでは de の使用を避けています。al にもいくつか意味があって、

https://x.com/jeiofic/status/2102776289895891123

@jeiofic
al は単なる「〜へ」だけでなく、行為の結果を受ける人、特に利益・不利益を受ける人を表すことがあります。そこでここでは窃盗の被害者も示せるし、postulata al では素質の提供義務者を示せると考え、de から al に変えられるとしてあります。次第に忘れられつつあるエスペラント受動文作りの奥義で

https://x.com/jeiofic/status/2102777964912058658

@jeiofic
人によっては「重箱の隅」と言うかもしれませんが、前世紀初頭、エスペラントで受動態を作るのが面倒と重く受け止められ、イド語では da が生まれ、エスペラントに al が残り、far や fare de が生まれたことは知っておくべきだと思います。

https://x.com/jeiofic/status/2102778826069877151

単語 postul/i その2 peti

Akademio de Esperanto の Respondoj de la Lingva Konsultejo (parto 2)に標記の参考になる質問と回答があったので、翻訳して示して考えてみる。
Akademioの記事もこのページの記事もあまりちゃんとは読んでなくて、標記に関する部分のみの掲載である。
結論的には、質問は良いのだが回答がなんだかはぐらかされた感じがする。「唯一の」もしくは「限定されたごく少数の」「正解」の構文が示された訳ではないので。

なお、ブログのこの記事のタイトル peti は辞書には次のようにある(一部のみ引用)。


  • peti ≪iun+pri io, ion (+de iu)≫ 求める, 請う
  • peti ≪iun+-i, iun+ke -u≫ …するようお願いする, 頼む

質問と回答

質問 2011.01.28

「peti al iu」とか「demandi al iu」は今の言い方でアリでしょうか。
私がエスペラントを学んだときは「peti ion de iu」「peti iun pri io」と強調されましたし、そういう使い方が新PIVにも載っています。だけど、2010年キューバ開催のILEIの大会で、私は「peti al」とか「demandi al」とか言っているのを聞きましたし、国際教育レビューにもそう書きました。(書いてありました?)
サルトラート氏、マクギル氏の教科書も「demandi al」という句を使っています。私のエスペラントの生徒たちのこの点を今でも強調すべきなのでしょうか。この peti / demandi al の使い方はもうすぐPIVに載ったりするのでしょうか?

PIVはアカデミーの辞書ではないことは知っていますが、エスペラント界では権威のある辞書となっています。私が疑問に思ったときに頼る特別な参考資料です。
よろしくお願いします。

回答
拝復、質問者さん
 エスペラントにおいては、民族語におけるのとは異なって、動詞の制御に用いられる前置詞というのは、厳密に(しかもしょっちゅう恣意的に〔?〕)固定されているというわけではありません。エスペラントの前置詞自身が、より明確な基本な意味を持っており、そのため構文の形式の選択が、その表現に特定の意味解釈を与えるのです。これに関連してエスペラントは民族語より柔軟であり、そのことが民族語においては簡単にはできないようなある種のニュアンスの付与が可能なのです。ザメンホフはある問答の中で次のように述べました。「instrui iun pri io」も「instrui ion al iu」もどちらも正しい表現の仕方である、と。
 ものを依頼する petado とき、主体以外に、依頼が向けられる人物やその依頼物にも役割があります。その人物は直接的な補語の役割を担わせられるし、依頼物は「pri」の補語の役割を担わせられる。つまり peti iun pri io と書くことができる。しかし、同じように依頼物に直接補語、人物には al の補語を与えることもできる。つまり peti ion al iu と書くこともできる。もっと強い依頼、つまり postuli と peti とを調べて比べてみると、その最も普通の構文は「postuli ion DE iu」であることがわかる。別の言い方をすると、その要求を満たすことになっている人物から「de iru 〔発する〕」ものとして、その要求物は表現されていることになる。だから、「peti」も「peti ion de iu」と書くことができるし「peti informon CxE persono aux instanco」と書くこともできる。
 同様の選択肢は、複数の他の動詞に他のいくつかの動詞にも原則的に見られる。たとえば次のように。

  • demandi iun pri io
  • demandi ion de iu
  • demandi ion al iu
  • redpondi demandon
  • respondi personon
  • respondi al demando
  • respondi al persono
  • danki iun pro io
  • danki iun por io
  • danki ion al iu

 そして実際、これらのあまり一般的ではない形式の多くは、ザメンホフの著作に出ています(peti ion de iu, demandi de iu ion, danki al iu)。エスペラントの基礎にもあります(peti de iu)。
 このようにエスペラントで実現可能なニュアンスのおかげで、エスペラント語の語根が比較的少ないにもかかわらず、豊かなニュアンスを表現することが可能なのです。この観点からすると、あれこれの異なる構文を選択できる性質は、言語の不安定さを示すものではなく、むしろ柔軟性、弾力性、表現力の表れと言えるでしょう。
 もちろん、こうした組み合わせの可能性や組み合わせの意味に影響を与える要因は多い。例えば、ザメンホフの例では、「peti al iu」は「peti iun」とは全く異なる意味を持つのです。

  • “Se li jam venis, petu lin al mi.” (Ekzercaro de la Fundamento de Esperanto)
    「もう彼が来ているのなら、ここに呼んでくれ(来るように頼め)」(エスペラントの基礎の問題集)
  • “Mi petas vin sinjoroj, se vi estos en Peterburgo, mi petas, mi petas al mi.” (La Revizoro)
    「ペテルブルグにいらっしゃるようなことがあれば、皆さんぜひぜひ拙宅におこしください(ご招待します)」(監察官)
  • “Iru, petu al vi vazojn ekstere, de cxiuj viaj najbaroj” (Malnova Testamento)
    「ほかへ行って、隣の人々から器を借りなさい」(旧約聖書列王紀下4:3)

こうした例は、「peti al iu」という表現が、文脈によって少なくとも3つの異なる意味を持つことを示しています。これが、「peti ion al iu」という表現が比較的あまり使われない理由の一つです。つまり、これは初めからのタブーではなく、「優れた書き手」が、意図した意味を明確に表現し、誤解を生じさせないような表現を無意識のうちに選択している、ということです。
 結論:ただ一つの構文の正しさについての硬直した主張、他の可能な構文すべての否定(破門する)には、十分注意すべきです。しかし、選択の自由は絶対的なものではないことを忘れてはいけません。はっきりと言いたいことを表現するためには、紛らわしく誤解を招くような表現は避けなければなりません。
敬具 アレクサンドロ

単語 postul/i

postuli 要求する、も厄介な単語である。よくわからないこともある。
主語が人でもモノでもアリで、目的語は ion を取るが、考えようによっては iun だって取らないわけではなかろう。ke を目的節にした時にややこしくもある。自分が一番混乱したのは、postuli ion al iu ではなく、postuli ion de iu であること。そしてその受動文。受動文理解については未解決。教科書に書いてあったかな?

  • 1 (人が主語) 人に何かをもらったり、やってもらいたいという願望をはっきり表明する: postuli ion (de iu); ke -u
    • postuli sian parton de heredaĵo; 遺産の分け前を
    • ŝiru vin en du partojn, la mondo trian postulos (Zamenhof);
      おまえが身を二つに裂き分けても、世間は第三のものを求めるであろう(身を粉にして働いても?)
    • kion Dio ne donis, perforte ne postulu (Z);
      神の与えなかったものを無理やり求めてはならない
    • donu al la lupo iom, ĝi postulos ĉiom;
      その狼に少しでもなにか与えたら、全部を要求するだろう
    • ŝi postulis, ke ŝi estu traktata konforme al tio (Z);
      それにふさわしい処遇を要求した。
    • li eĉ postulis, ke lia statuo staru en la preĝejoj (Z);
      教会にあの方の銅像を立てるよう要求すらした
    • de muzikisto vi postulas, ke li sciu ludi (Z); 君は音楽家に、演奏することを求めている。
    • preskaŭ nekredebla estis la elaĉeta mono, kiu estis postulata (Z); 要求された身代金はとてつもない額だった
    • aperis (multaj) kun rozoj, sed la postulata rozo ne estis inter ili (Z); バラは多けれど、望まれしバラはなし。
    • (elipse) mia patro min postulas (Z) (postulas, ke mi venu al li). ☞ eldevigi. (省略した書き方)父は私に要求した(父のところに来るように)
  • 2 (事物が主語) 何かを必要不可欠なものとする、ある事物のためにそれが必要である:
    • 例文略
未解決問題:受動文


ところで、下記の1を書き換える場合、3が成立するかどうか。AIに尋ねると概ね否定的ではある。4のように書けということだろうか。

  1. Mi postulas monon de li.
  2. Li estas postulata de mi pri mono de mi.
  3. Mono estas postulata de mi al li.
  4. Mono, kiun mi postulas de li.

ちなみに、某辞書には次のような例が挙げられている。

  • la sentemo postulata al artisto [por arta agado] 芸術家[芸術活動]に必要とされる感性

その他

  • Ankaŭ naturalismo estas parto de la esencismo, kie fiksita naturo estas postulita al virinoj per teologiaj aŭ ontologiaj anstataŭ biologiaj motivoj.*1

単語 kondamn/i

Kondamn/i {他} を「~非難する」として読み書きすることはしばしばだが、{法} 「刑罰を言い渡す」として読み書きすることは稀だった。
PIVや辞書を引用したりして、確認しておこう。日本語訳は参考程度に。
この単語のムズいところは

  • 目的語に iun も ion も取る
  • ①の用法が kondamuni al iu per/de puno ではなく、iun al puno であること。
  • ①の受動文が (la puno) esti kondamnita al iu であるであろうこと。

★kondamn/i (tr)

1 {法} 法廷で誰かを有罪と宣告し、相応の刑罰を決定する: kondamn/i (iun al ia puno) ; esti kodamn/it/a (-i; al io (de io/iu))

  • kondamni iun al monpuno, al morto (de Zamenhof),
    罰金刑を言い渡す、死刑を宣告する
  • mi estas kondamnita longan tempon vagadi en la nokto (de Zamenhof);
    私は長い間、夜をさまよう天罰を下された。
  • (f) mi estis kondamnita de la malsano resti du semajnojn en la lito;
    比喩:病気で2週間も床に伏せていなければならないハメに陥った
  • (f) ĉiuj niaj tiucelaj projektoj estas kondamnitaj al malsukceso;
    プロジェクトは失敗という憂き目を喫した
  • (f) viaj kalkuloj estas kondamnitaj al malĝusteco (neeviteble, nepre malĝustaj). ☞ verdikti.
    計算絶対間違ってるし。

2 罰せられるべきだと宣言すること: kondamn/i (ies agon, aferon ktp.)

  • la kodo kondamnas la malveran ateston;
    法典は偽証を非難すべきものとしている
  • estas agoj, kiujn la moralo kondamnas, sed kiujn ne kondamnas la leĝo.
    道徳が非難する行いであっても、法的には問題ないものがある。

3 間違っている宣言する、非難されるべきだと宣言する、非難する: kondamn/i (iun (pro io))

  • ne aŭskultinte, ne kondamnu (Z); 話も聞かずに非難するな
  • ne kondamnu alian, oni vin ne kondamnos (Z); 他人を非難するな。そうしたらあなたも非難されない。
  • kondamni projekton, parolon malican; 悪意ある発言案(?)を非難する。
  • vi kondamnas vin mem per tiu konfeso; 白状したことで立場が苦しくなる(?)
  • tiu doktrino estas kondamnita de la faktoj, de siaj propraj sekvoj.
    その学説は事実とそれ自身の論理的帰結によって破綻している。

「重視する」を分析試論

タイトルは分析しろ、のダジャレ。

さて「重視する」という日本語は厄介で、辞書を引くと「価値が高くあるいは有用性が高いものとして重く見る」とある。もう少し深掘りすると「気にかけて扱う」「尊重する」「重んじる」「重きを置く」などと書いてある。
でもこれでは翻訳には使いにくい。「人権を重視する」「環境を重視する」「利益を重視する」「安全を重視する」「耐久性を重視する」「経済発展を重視する」「算数のテストを重視する」「テストの結果を重視する」「美人かどうかを重視する」をすべて単一同一の単語で済ませることはできなくはないが、訳し分けたい気持ちもある。たとえば「(大きく)評価する」「強調する」「優先する」など。
日本語は、なにしろ気軽に「重視する」を多用し過ぎではなかろうか。


訳し分けるためには「重視する」について分析が必要である。こういう研究は世の中にあるのだろうか。
分析のポイントは以下の通りだと思う。なお、挙げた軸通りの分析はしていない。

  • 認識=実践軸
  • 構造=歴史軸(共時=経時、静的=動的)
  • 普遍=特殊(個別)軸(社会的に普遍的か=文化的・地域的・個人的に限局的か、客観的に近い=主観的に近い)
  • 希少=夥多軸(特に実践における有限な時間や資材・能力の配分。論理的には認識の問題だと思うが、付け足し)


■「重視する」とは主観的判断・行為

「重視する」という字義に限れば価値判断行為だと思うが、ここでいう「価値」があるとは以下のように考えられる。

  • 「絶対的価値」も含め相対的・対照的な概念
  • 認識対象とする結果や目的に向かう経過(静的には構造)や序列のなかでの位置づけがより根本的もしくは不可欠であることの度合いが強いと「価値」が大きく・強い。
  • 危険性のように当該の結果や目的を毀損・破壊する場合も価値の絶対値は大きい
●「重視する」の大枠の分類
  • 認識プロセス:認識の進展(理解を深める・経過させる)、価値判断・度合いの判断(評価が目的にとってマイナスでも評価の絶対値が大きい場合は「重視」対象となる)、選択(の判断)において重要とみなす
  • 実践プロセス:(技術的過程と組織的過程に分解できるが、実際にはその結合としてのみ実在する)
    • 人間精神(注意力・集中力)を傾注する。
    • 人間精神以外の時間または空間を占めるもの(財や知識・技術)を傾注する。

以下は「重視する」「重視した」というときの内実を少し整理して列挙してみたもの。但し上に述べたことと整合的に全分野的に網羅させていない。

■1. 認識プロセス(見做す・判断する)

●a. 価値の度合いの判断(対象の位置づけの評価)
  1. 結果や目的に向かう経過・序列における「不可欠性・根本性」
  2. 毀損・破壊する場合の「リスク(危険度)の絶対値の大きさ」
  3. 判断プロセスにおける評価要素として量的に大きく評価する
●b. 価値のドメイン(主観が依拠する背景・規範の分類)

これは普遍=特殊軸による分類。「国益重視」「経済発展重視」と「容姿重視」「カロリー重視」などとの別。重視基準が客観的か主観的かと言えなくもない。

  1. 制度的・経済的・法的・普遍的な枠組み(合理性、公的、明文化された義務)
  2. 個人的・趣味的・文化的・習俗的な枠組み(嗜好、美意識、暗黙の共有コード)
●c.認知資源の排他選択
  1. 有限な「意識・関心」のスポットライトを、他の対象を遮断して特定に対象に独占的に割り当てる判断


■2. 実践プロセス(行動に現れる重み付けの処理)

●d.【共時・手法】慎重に取り扱う(行為の質的コントロール)
  1. 正確性、精確性あるいは網羅性、対象に応じた柔軟性の確保、妥協のない検証
  2. 毀損・損壊・破壊から対象を守る
  3. 安全性の確保、失敗の回避
●e.【経時・段取】優先して取り扱う(時間軸のコントロール)
  1. 他の事項より時間的に先取りする、スケジュール上のクリティカル・パスとして配置する
●f.【空間・構造】リソースの傾斜配分(物量的コントロール)
  1. 予算、人員、機材、情報空間(紙面・画面の占有面積)などの質量を他より多く投入する

■言い換え例文

上記の分類に応じて例文を一つずつ挙げ、「重視する」がどのように言い換え可能であるか= rigardi ion grava 以外の訳が可能であるか・適当であるかを示す。例文は複数の分類枠に係るものもあり、文脈によっては違うカテゴリーになる可能性もある。
●認識プロセス

  • a1. 人選にあたっては国際感覚豊かなエスペランティストであることを重視する。 → 必須条件とする、要件として高く評価する
  • a2. 操船に当たっては浅瀬を重視する。 → 警戒する、最大の危険要因とみなす
  • a3. エスペラントの実力判定にあたっては、会話能力を重視する。 → 判定基準の中心に据える、配点を高くする
  • b1. 国際協力計画の選定に当たっては人権を重視する。 → 規範・前提として尊重する、判断基準の軸とする
  • b2. 異性と交際するに当たっては、足の長さを重視する。 → 嗜好の基準とする、こだわる
  • c1. 公式発表を重視する → 注視する、意識を集中させる

●実践プロセス

  • d1. 人物像の製作時には各部の大きさの比率を重視する。 → 精確に再現する、妥協なく検証する
  • d2. 工場の操業にあたっては大気汚染を重視する。 → 防止・対策を徹底する、リスク管理の対象とする
  • d3. 機械の操作に当たっては、事前点検を重視する。 → 欠かさず行う、安全対策として徹底する
  • e1. 食事よりデートを重視する。 → 優先する、繰り上げる
  • e1. 環境保全より経済発展を重視する。 → 先行させる、優先する
  • f1. 安全対策費への集中投資を重視する。 → 重点的に予算配分する、手厚くリソースを割く

さいごに

ここでは能力的制限もあるが、エスペラントの訳例は示さない。頻出する「重視する」が「重要とみなす」という解釈や訳語だけでは済まされないとすると、どのような意味がどのようにあり得るのかを、主に認識と実践に大きく切り分けて整理してみることが本稿の着地点である。
翻訳するには「重視する」をその都度文脈に応じて検討するのが適切であろう。

人権救済と単語 rimedo --- 3/3

前の記事
複数のAIに案を出してもらい、やや拡散してしまったので全部集めてAIに整理してもらったものです。英文の用例はたぶん信頼して良いと思います。

■「人権」+「救済」

日本語 Esperanto(案) 英語
人権救済 rimedo(j) kontraux malobservoj de homaj rajtoj remedy / redress for human rights violations
人権の救済 rimedo(j) por/kontraux malobservoj de homaj rajtoj remedy / redress for human rights violations
人権救済制度 mekanismo por aliro al homrajtaj rimedoj human rights remedy/redress mechanism
人権を救済する disponigi/provizi rimedojn por/kontraux malobservoj provide/remedy/redress human rights violations
人権救済措置 rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj remedial/redress measures
人権救済手続 proceduroj por rimedoj kontraux homrajtaj malobservoj remedial procedures
人権救済機関 instanco por rimedoj kontraux malobservoj redress body / grievance body
人権救済の権利 rajto je efika rimedo kontraux malobservoj right to an effective remedy
人権救済へのアクセス aliro al rimedoj kontraux malobservoj access to remedies
人権救済の実効性 efikeco de rimedoj kontraux malobservoj effectiveness of remedies
人権救済の確保 certigo/garantio de rimedoj kontraux malobservoj ensure/guarantee remedies


■「人権救済」

●英語
  • human rights remedy
  • remedy for human rights violations
  • remedy for violations of human rights
  • human rights redress
  • remedies in the field of human rights
  • remedies available for human rights violations
  • means of redress for human rights violations
  • forms of reparation for human rights violations
●Esperanto
  • rimedo kontraux homrajtaj malobservoj
  • rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj
  • rimedoj pri homrajta malobservado


■「人権の救済」

●英語
  • remedy for human rights violations
  • redress for violations of human rights
  • redress of human rights violations
  • reparation for human rights violations
  • access to remedies for human rights violations
  • effective remedies for human rights violations
●Esperanto
  • rimedo por malobservoj de homaj rajtoj
  • rimedo kontraux malobservoj de homaj rajtoj
  • efikaj rimedoj por homrajta malobservado
  • aliro al rimedoj por homrajta malobservado
  • reparacio pro malobservoj de homaj rajtoj


■「人権救済制度」

●英語
  • human rights remedy mechanism
  • mechanism for human rights redress
  • mechanisms to ensure remedies for human rights violations
  • access-to-remedy mechanism

苦情・申立てを処理する仕組み

  • human rights grievance mechanism
  • human rights complaints mechanism
●Esperanto
  • mekanismo por aliro al homrajtaj rimedoj
  • sistemo de rimedoj por homaj rajtoj
  • homrajta rimedsistemo
  • sistemo por homrajta rimedo
  • mekanismo por homrajta reparacio


■「人権を救済する」

●英語
  • provide a remedy for human rights violations
  • provide redress for human rights violations
  • to remedy human rights violations
  • to redress human rights violations
  • to afford remedies for human rights violations
  • to ensure redress for human rights violations
  • to provide effective remedies for human rights violations
  • to guarantee access to remedies for human rights violations
●Esperanto
  • disponigi rimedon por malobservoj de homaj rajtoj
  • provizi efikajn rimedojn por homrajta malobservado
  • garantii aliron al rimedoj por homrajta malobservado
  • efektivigi rimedojn kontraux homrajta malobservado


■「人権救済措置」

●英語
  • remedial measures
  • redress measures
●Esperanto
  • rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj


■「人権救済手続」

●英語
  • remedial procedures
●Esperanto
  • proceduroj por rimedoj kontraux homrajtaj malobservoj


■「人権救済機関」

●英語
  • redress body
  • grievance body
●Esperanto
  • instanco por rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj
  • homrajta rimedinstanco


■「人権救済の権利」

●英語
  • right to an effective remedy
●Esperanto
  • rajto al [; je] efika rimedo kontraux malobservoj de homaj rajtoj


■「人権救済へのアクセス」

●英語
  • access to remedies
●Esperanto
  • aliro al rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj
  • aliro al efikaj rimedoj por homrajta malobservado


■「人権救済の実効性」

●英語
  • effectiveness of remedies
●Esperanto
  • efikeco de rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj
  • efikeco de rimedoj por homrajta malobservado


■「人権救済の確保」

●英語

ensure remedies
guarantee remedies

●Esperanto
  • certigo de rimedoj kontraux malobservoj de homaj rajtoj
  • certigo de efikaj rimedoj por homrajta malobservado


■まとめ

●remedy / rimedo 系

救済=侵害に対して利用できる救済手段・救済措置

  • rimedo(j) kontraux malobservoj de homaj rajtoj

●redress 系
侵害された状態に対する救済・是正

  • redress for human rights violations
  • redress of human rights violations
  • regxustigo de [; por] homaj rajtoj malobservitaj



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