戦争を止めることはできるか?平和創造の力とは
— 国連広報センター (@UNIC_Tokyo) 2024年4月11日
なぜ戦争が始まるのか。どうしたら戦争を終わらせることができるのか。国連の調停専門家であるアシフ・ハーン氏が、平和創造の複雑な世界を説明し、その課題や成功例、そしてあらゆる人々がどのように役割を果たせるのかを解説する。 pic.twitter.com/78PLfC06Wf
アシフ・R・ハーン
国連政務・平和構築局政策調停部 部長
平和が壊れたら、元に戻す努力が必要です。
統計上は非常に厳しく、和平合意の少なくとも約3分の1が破綻しています。
だからといって諦めたりしません。もちろん努力します。
道徳的義務とともに法的義務があります。
私たちを動かしているのは、国際法、国連憲章、過去数十年もの間に合意されたあらゆる条約や協定が持つ理想と基準、そして規範です。
再び交渉のテーブルに着き、再び努力しなければなりません。
私たちや平和創造に携わる多くの人々にとって、それが唯一の選択肢なのです。
なぜ和平合意はしばしば破綻するのか?
和平合意が破られるのは、大きな利害が絡むからです。
戦争とは単なる暴力ではなく、権力に関わります。
戦争に賛成しなくとも、戦争を始める人がいる理由はここにあります。
紛争を理解することが絶対的に不可欠です。
同時に、人々は変わると信じることも大切です。
戦争は人々を変えます。
戦争は社会を変えます。
調停者は、戦争を起こした人々の心理をよく理解し、いくつかの案を提示し、両者またはそれ以上の数の当事者が実はあまり違いがないと伝えなければなりません。
合意可能な共通点はあるのです。そこが出発点となります。
なぜ国連は平和のためにもっと何かできないのか?
安全保障理事会(安保理)の分断と、様々な問題に関して飛び交う激しいレトリックにもかかわらず、理事国が合意できる問題がとても多くあることは特筆すべきことです。
安保理はその仕事を続けています。
ご承知のとおり、ウクライナについて、そして今、中東についても激論が交わされています。
しかしその他の多くの事案や紛争について、安保理は引き続き合意に達し、マンデート(任務内容)を承認し、新たな任務を与え、決議を採択しています。
国連は他のいかなる組織よりも大きな、すべての国が対話できる巨大なグローバル・プラットフォームなのです。
これは、国連が完ぺきな場所である、という意味ではありません。
国々は議論しますが、誰もが問題を提起し、それを討議の場に提示し、議論できる場なのです。
それが国連の大きな利点です。
国連、主に事務総長と世界に配置される特使や代表の周旋が果たす役割は極めて重要です。
これは何を意味するのか。
周旋とは基本的に紛争を予防したり、戦争を終わらせたりするために、当事者の間に介入して対話を促進する能力のことです。
時には関係者に電話して、正しい方向へ進むよう説得し、時には今後の行程を立案し超低プロセス全体を作ります。
国連はこうした仕事を他の人々と協力して行っており、国連単体では行いません。
そして国連は様々な批判があってでもなお、依然として中心的な役割を担っています。
国連の成功事例にはどのようなものがあるのか?
大切なこととして、私たちが成功を伝える時は、謙虚さが必要、ということがあります。
交渉においてはトラブルの種は付き物です。
一例として2022年のイエメンでの停戦合意を挙げます。
6か月間の停戦で合意が成立し、イエメンで何千人もの命が救われたのです。
包括的な合意ではなく、戦争が正式に終結したわけではありませんが、紛争は概ね完全に下火になりました。
人道支援が届けられ、都市部には平和が訪れ、爆撃が停まりました。
それらは個別の出来事ではなかったのです。
この例を挙げたのは、必ずしも全体的で包括的な合意である必要はないということです。
さまざまな種類の合意をさまざまなレベルで取り付けることで、何千人もの人々の命を救えるのです。
平和のために私に何ができるのか?
ある意味紛争は不可避です。
問題はどのように治めるのか、どのような種類の紛争にするのかということです。
紛争を平和的なものにし、暴力につなげないことは可能です。
どこで暮らしていようと、誰であろうと、まず個人がすべきことは、自分の立場からのみ物事を進めるのではなく、相手の主張をより良く理解するよう努めることです。
対話を中心に据えるのです。
対話のためのより良い仕組みがある社会は、繁栄します。
それこそまさに、あらゆる人ができることです。
私たちは、相手を善意で解釈し、理解に努めることができます。
平和創造は、常に不可欠なものであり続けるでしょう。
それを担い続けるのが国連なのか、他の国際的な枠組みなのかは、もちろんまだ分かりません。
しかしそのニーズは常に存在し続けると思います。
当然ですが、平和の理念のために取り組むということ以上に素晴らしい目標はありません。