これはひどい、「責め具」を貸し出す国保連合会---熊本 (Nur japanlingve)

国保連合会というのをご存知だろうか? 日本では、健康で文化的な生活を保障するため、だれもが何らかの医療保険に加入し、その保険で充分な公的医療を受給できる、という仕組みになっている。
役所や会社に勤めている人は、共済、組合、健保協会の保険に加入し、働いていない人、個人業主や零細な業者など会社として保険に加入しない人たちは、自治体や職域が運営している国民健康保険に加入することになっている。したがって、国民健康保険に加入すべき人たちは収入が少なかったり不安定だったりする人たちが多いのである*1
その市町村国保や職域国保の団体は都道府県ごとに連合会を組織して、実務に当たっているのだが、次のリンクは熊本国保連合会の1ページである。

何か違和感のあるものが一点あるだろう? 「その他 / タイヤロック(9台)」に気づいた方は正解。
どうしてこういうタイヤロックなどが国保連合会に必要なのか?
答え:差し押さえ・嫌がらせのため






バイクへのロックも盗難防止のためではない。



下の事件の熊本県宇城市では国保料は、「保険料」ではなく「国保税」という取扱にしていて、国保料の滞納は税金の滞納として取り扱われるのである。

 熊本県宇城市三角町の三角港軽ワゴン車が海に転落し、乗っていた家族7人のうち6人が 水死した事故で、亡くなった同町三角浦、今井昭一さん(63)は市税を滞納したため、たこ焼きの 移動販売用の車を市に差し押さえられていたことが市や知人らの話でわかった。県警が27日、 現場の実況見分をしたところ、岸壁にはブレーキをかけた跡はなかった。

……

 だが、固定資産税など市税計約100万円を滞納。宇城市は市税滞納者の車などの差し押さえを今年度から始めており、今井さんが所有する4台のうち移動販売車を含む2台を今月14日、タイヤをロックして差し押さえた。残りの2台のうち1台は廃車同然で、もう1台が海に転落した軽ワゴン車。今井さんは足腰が痛むなど体が弱っていたのに加え、移動販売車を動かせなくなって将来を悲観していたという。
 宇城市の宮崎一誠・市民環境部長は、今井さんの車の差し押さえについて「残りの車で営業はできると判断した。まさかこんな結果になるとは思わなかった」と話した。……

http://yomi.mobi/read.cgi/mamono/mamono_newsplus_1211994643


さつま町でも税の滞納者については強硬な手段に出ると脅しの広報。そして国保料は「税」扱い。

国民健康保険税の税率が決定されました

 平成20年度の国民健康保険税の税率が決定されました。
 後期高齢者医療制度の創設に伴い,医療分・介護分とあわせて新たに「後期高齢者支援金分(支援分)」を納めていただくようになります。……


……町では,納税者の税負担の公平を図るため,これまで行なってきた給与・預貯金・不動産などの財産差押えに加え,タイヤロック装置を使用した自動車などの差押さえを実施することで,税徴収をより一層強化することになりました。
■タイヤロック概要
 滞納者所有の自動車(軽自動車・オートバイを含む。)の車輪に『タイヤロック』を装着し,ドアミラー部分には『差押公示書』を取り付けて差押えを行います。※タイヤロックにより,自動車の使用は不可能となります。
 差押え執行後も一定期間納税がなされない場合は,自動車を引き上げ,町で公売処分して滞納の税金などに充てます。……

http://www.satsuma-net.jp/users/files/080714145441_S16090231.pdf


国保料を滞納したのでタイヤロックをかまされ、それがため営業も出来なくなり一家心中した、という2008年の出来事を別の記事で読んで、「まさか」と思って調べてみると、タイヤロックで脅すやり方はあちこちで行われているようだ
催促・督促しても納税しないから差し押さえる、という単純なやり方では、重大な人権侵害を引き起こしかねないということを、行政はもっとよく認識すべきではなかろうか。不当に滞納している人と、困窮して滞納している人との鑑別もできないでは困る。とくに国保は高すぎて払えない人がたくさんいるのだから。

日用品まで差し押さえ=滞納処分の実例

 「タオルセット」「茶碗」「腕時計」がそれぞれ100円‐バーゲンセールではありません。自治体が税金滞納者から差し押さえた物品を販売する「公売会」、インターネットオークション「ネット公売」の物件です。食料品から日用品まで身ぐるみはがすような差し押さえ処分を受けた納税者は「これでは生きていけない」と悲鳴をあげ、自ら命を絶つ事例も。地方税の徴収現場で何が起きているのでしょうか。
……

一般の差押禁止財産

 国税徴収法第75条では、生活や営業に欠くことができない財産は、差し押さえることができないとしています。
 衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具、食料及び燃料、業務に欠くことができない器具、実印、仏像、位牌、系譜、日記、勲章、名誉の章票、学習に必要な書籍及び器具 義足その他の身体の補足に供する物、消防用の機械又は器具など

http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/chihou/100517-03/100517.html


あまり熱心に探していないが、次の記事などにも共感
http://anemonefish.cocolog-nifty.com/osakana/2008/01/post_e0be.html

*1:たとえば「05年度の国保加入世帯の平均所得は168万7000円。国保の平均保険料は14万2803円で、所得の8.47%にあたります。」中央社保協2008年4月19−20日開催 『2008年国保改善運動全国交流集会』問題提起