池本周三著『魚仲卸を天職にした男』ふたば書房 2017年

すごく感心したので、引用。アンダーラインと〔 〕は引用者。( )は原文のまま。

卸売市場は不要なのか

 《市場不要論》が語られるようになって、もうずいぶんたつ。…卸と仲卸、なぜ二段階の中間搾取が必要なのか、…。
 実際、道の駅とか…卸売市場を一切通らないで、一般消費者に食べものが届いている。すでにそうなっていて、別に問題がないのなら、すべてそうしたっていいんやないの? 卸も仲卸もなくて生産者から直接買えたら新鮮やし、無駄な経費がかからないのでは? もそもそネットを利用したショッピングは…〔市場イチバに関係なく〕成り立っている。
 この答えは…
 いのちの源である食の安全は非常に大切だからこそ、まったくの自由経済下に置かないで、国の管理の下の公設市場にするというわけだ。
 だから、中央卸売市場法という法律があり、農林水産大臣の認可を受けて、地方公共団体のもとでの食品衛生検査がきちんと行われている。…



 …しかし、卸と仲卸、なぜ二段階が必要かということ。
 …卸も仲卸も民間企業ではあるが、公から認可を受けた企業である。そしてその目的は流通。生鮮食料品を産地から消費者へスムーズに流すことであり、より多く、より高い値段で販売することではない
 …「卸は出荷者の味方、仲卸は消費者の味方。市場はその両者が相撲を取るための土俵」。つまり公正さを守れるよう、出荷者と小売業者(消費者)の代理人として機能するのが目的であり、…営利のために値段をつけているわけではない(営利目的なら、つねに高価な値をつければいいのだから)。
 この公設市場のしくみによって、消費者は守られていこそすれ、中間搾取されているとはいいがたい。



池本周三氏が死去 京都全魚類卸協同組合理事長

 池本 周三氏(いけもと・しゅうぞう=京都全魚類卸協同組合理事長、河市水産会長)〔2018年5月〕26日午前4時10分、宇治市の自宅で死去、82歳。宇治市出身。…
 京都市中央卸売市場協会会長や全国水産物卸組合連合会会長、京都中央信用金庫監事などを務め、魚食の普及に尽力した。

http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/2018052