A/ES-10/L.31/Rev.1 〔総会/第10回特別会合/L.31号文書/修正1回〕(抜粋)

国連総会がイスラエルと加盟諸国に要求している決議の後半部分のみ抜粋。

A/ES-10/L.31/Rev.1 〔総会/第10回特別会合/L.31号文書/修正1回〕(抜粋)

国連総会 2024年9月18日採択

https://www.un.org/unispal/document/ga-draft-resolution-advisory-opinion-of-icj-13sep24/


1. 東エルサレムを含むパレスチナ占領地域におけるイスラエルの政策と慣行、およびパレスチナ占領地域におけるイスラエルの継続的な駐留の違法性から生じる法的結果に関する2024年7月19日の国際司法裁判所の勧告的意見を歓迎する。
2. イスラエルに対し、国際的責任を伴う継続的な違法行為を構成するパレスチナ占領地域における不法な存在を遅滞なく終わらせること、本決議の採択から12か月以内にそうすることを要求する。
3. イスラエルに対し、国際司法裁判所の規定を含む国際法上のすべての法的義務を、とりわけ以下の方法で遅滞なく遵守することを要求する。〔(a)~(g)〕
 (a) 占領されたパレスチナ地域からすべての軍事力を撤退させること、これにはその空域及び海域も含まれる。
 (b) 違法な政策及び慣行を終了させること、これには以下の事どもを含む。すなわち、すべての新しい入植活動を直ちに停止し、占領されたパレスチナ地域からすべての入植者を撤去し、イスラエルが占領地域に建設した壁の部分を解体し、パレスチナ人民に対する差別を含む違法な状況を生み出すまたは維持するすべての法律及び措置を廃止し、また、エルサレムの聖地における歴史的現状を侵害するあらゆる措置を含む、領土のあらゆる部分の人口構成、特徴、地位を変更することを目的としたあらゆる措置。 
 (c) 1967年の占領開始以来、あらゆる自然人または法人から押収した土地およびその他の不動産、ならびにすべての資産、ならびにパレスチナ人およびパレスチナの機関から押収したすべての文化財および資産を返還すること。
 (d) 占領中に追放されたすべてのパレスチナ人が元の居住地への帰還することを許可すること。
 (e) 占領されたパレスチナ地域において関係するすべての自然人及び法人に対して被った損害に対して賠償を行うこと。
 (f) ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約<7>の適用に関する事件(南アフリカイスラエル)において、ガザ地区パレスチナ人が同条約第2条と第3条の範囲内のあらゆる行為から保護される権利に関して国際司法裁判所が下したそれぞれの暫定措置命令に示された国際法上の義務を直ちに遵守すること。 
 <7> 決議260 A (III)、附属書。
 (g) パレスチナ人民が占領下のパレスチナ地域全体にわたって、独立した主権国家の権利を含む自決権を行使することを妨げないこと。
4. すべての国に対し、勧告的意見に反映されている国際法上の義務を遵守するよう求める。それは以下の義務を含む。〔(a)~(f)〕
 (a) 共同行動および個別行動を通じて、パレスチナ人の自決権の実現を促進すること。この権利を尊重することはすべての国家に共通の義務である。パレスチナ人民からこの権利を奪うようないかなる行為も控えること。国連憲章および国際法を尊重しつつ、パレスチナ占領地域におけるイスラエルの不法な駐留によって生じる、パレスチナ人の自決権の行使に対するあらゆる妨害がなくなるようにすること; 
 (b) 占領されたパレスチナ領土におけるイスラエルの違法な占拠から生じる状況を合法として認知しないこと;
 (c) イスラエルの違法な〔パレスチナ〕領域の占拠によって創出された状況を維持するための援助や支援を行わないこと;
 (d) 交渉を通じて当事者間で合意された場合を除き、1967年6月5日にイスラエルが占領した領土(東エルサレムを含む)の物理的特徴、人口構成、制度的構造または地位のいかなる変更も認めない。安全保障理事会決議2334(2016年)で確認されたように、この点に関する義務は、とりわけ、イスラエルとの外交、政治、法律、軍事、経済、商業、金融上の取引に関連して、イスラエルと1967年以来占領されているパレスチナ領土を区別することである。これには以下が含まれる。〔(i)~(iv)〕 
   (i) 次のような場合はすべて、イスラエルとの条約関係を控えること。パレスチナ占領地域またはその一部を代表して、パレスチナ占領地域またはその領土の一部に関する事項について行動することを目的とする場合、
   (ii) パレスチナ占領地域またはその一部に関して、入植地およびそれに関連する体制を含め、イスラエルの不法な存在を同地域に固定化させる可能性のある経済取引または貿易取引をイスラエルと行わないように控えること。
   (iii) イスラエルにおける外交使節団の設置および維持において、1980年8月20日安全保障理事会決議478(1980)に従い、エルサレムにおける外交使節団の設置を控えることを含め、占領下のパレスチナ地域におけるイスラエルの不法な存在を一切認めないこと。
   (iv) 入植地及びそれに関連する体制に関するものを含め、占領下のパレスチナ地域においてイスラエルが作り出した違法な状況の維持を助長する貿易関係や投資関係を防止するための措置を講じること。
 (e) 第四ジュネーブ条約(1949年8月12日の戦時における文民の保護に関するジュネーブ条約)の締約国として、同条約に規定される国際人道法の遵守、特に刑罰および重大な違反に関する第146条、第147条および第148条に基づく義務に従って、国連憲章国際法を尊重し、東エルサレムを含むパレスチナ占領地域において条約を施行するための措置を講じる緊急性を強調する。 
 (f) 勧告的意見で特定された人種差別撤廃条約第3条のイスラエルによる違反を防止、禁止、根絶することを含め、特に人種、宗教、民族的起源に基づく体系的な差別を終わらせるための努力を行うこと。
5. また、この点に関して、すべての国に対し、国際法上の義務に従って、以下のことを要請する:〔(a)~(d)〕
 (a) 自国の国民及び自国の管轄下にある企業や団体、ならびにその当局が、占領下のパレスチナ地域におけるイスラエルの不法な存在によって生み出された状況の承認を伴う、またはこれを維持する援助や支援を提供するようないかなる行動も行わないこと; 
 (b) イスラエルの入植地に由来するあらゆる製品の輸入を停止し、また、パレスチナ占領地域で使用される可能性があると合理的に疑われる場合には、占領国イスラエルへの武器、弾薬および関連装備の提供または移転も停止することに向けての措置を講ずること; 
 (c) 入植者の暴力に関する事案を含め、占領されたパレスチナ地域におけるイスラエルの違法な占拠を維持することに従事する自然人及び法人に対して、旅行禁止や資産凍結を含む制裁を実施すること; 
 (d) すべての被害者に対する責任追及の努力を支持すること;
6. 国際連合を含む国際機関及び地域機関に対し、イスラエルの違法な占拠によって生じた状況を合法と認めず、関連する取り組みにおいてイスラエルと占領されたパレスチナ地域を区別し、占領されたパレスチナ地域の天然資源を利用するためにイスラエルが行ういかなる措置も、また地域の人口構成、地理的特性、または制度構造に対する変更も認めたり、協力したり、いかなる方法・いかなる手段であれ支援したりしないよう求める。 
7. 国連及びその諸機関に対し、国際司法裁判所が行った決定に従い、関連するすべての地図、声明、報告書、ならびにそれぞれの計画や行動に関して、国際司法裁判所の決定を尊重し、それに従って行動するよう求める、
8. イスラエル政府による国連憲章国際法及び関連する国連決議に基づく義務の、継続的かつ完全な無視と違反を強く非難し、そして、このような違反行為は地域と国際の平和と安全を深刻に脅かすものであることを強調する、
9. イスラエルは占領されたパレスチナ地域における国際法の違反、特に国際人道法及び国際人権法の違反に対して責任を問われるべきであり、これらの国際的に不法な行為によって引き起こされたすべての法的結果を負うべきであること、またそのような行為によって生じた損害を含む傷害に対して賠償を行うことを認識する。
10. この点に関し、パレスチナ占領地域におけるイスラエルの国際不法行為から生じたあらゆる損害、損失または傷害に対する賠償のための国際メカニズムの設立の必要性を認識し、加盟国に対し、国連およびその関連機関と連携して、パレスチナ占領地域におけるイスラエルの国際不法行為によって引き起こされた、関係するすべての自然人および法人ならびにパレスチナ国民への損害、損失または傷害に関する証拠および請求情報の文書形式での記録として機能する国際損害登録簿の作成、ならびにイスラエルによるそのような賠償を確保するための証拠収集および取り組みの促進および調整を求める。 
11. 国内または国際レベルでの、適切・公正かつ独立した捜査と訴追を通じて、国際法上の最も重大な犯罪に対する責任追及を確実にするとともに、すべての被害者に対する正義と将来の犯罪の防止を確実にする必要性を強調する。
12. 東エルサレムを含むパレスチナ占領地域における戦時における民間人の保護に関する第四ジュネーブ条約の締約国会議の開催、および四つのジュネーブ条約<8>の共通第1条に従って同条約の遵守を確保する措置について会議を開催するよう要請し、また、この点に関して、ジュネーブ条約の寄託国としての立場で、スイス政府に対し、本決議の採択後6か月以内に会議を開催するよう要請する。 
   <8> 国連、条約シリーズ、巻75、号970–973。
13. 中東における公正で永続的かつ包括的な平和の達成のため、パレスチナ問題と二国家解決に関する国連決議の実施のため、第79回国連総会会期中に総会主催の国際会議を開催することを決定する。
14. 事務総長に対し、国連人権高等弁務官および関連する経験と専門知識を有する加盟国と協議の上、本決議で要請されている報告書において、国際司法裁判所が勧告的意見で特定したあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約第3条に対するイスラエルの違反を追跡調査するためのメカニズムを設置するための提案を提示するよう要請する。 
15. 特に不遵守の場合に、勧告的意見の完全な尊重と関連するすべての国連決議の完全な履行を確保するためのさらなる実際的な方法と手段を検討する決意を確認する。
16. すべての国、国連とその専門機関および組織、ならびに地域組織に対し、パレスチナ人民による自決権の早期実現を支持・支援し、勧告的意見および関連するすべての国連決議の完全な実施を確保するための措置を積極的に追求するよう求める。 
17. 事務総長に対し、本決議の実施状況について、イスラエル、その他の諸国、国連を含む国際機関が本決議の規定の実施または違反に関して講じたあらゆる行動を含め、3か月以内に総会に報告書を提出するよう要請する。 
18.パレスチナ問題に関して、国際法および関連する国連決議に従ってすべての側面で解決されるまで、国連の恒久的な責任を再確認する。