16分 敬称略
浜矩子:人はなぜ税金を払わなきゃいけないのか。こんなに恩恵に浴してないのに、どうして税金払うの?っていうふうに言いたくなっちゃく気持ちはよく分かりますけど。
だけど税金っていうのは自分のために払うもんじゃあないんですね。
山田厚史:え、ちょっと待って、税金っていうのは自分のために払うもんじゃない。
浜:「じゃない」ですね。
自分が恩恵を浴するためにその恩恵の代償として税金を払うっていう発想は根本的に間違いだと私は思います。
税金は、税金を払える人が、税金を払えない人のために払うんです。
そのベースが確立していればこそ弱者救済ができるっていうことですね。
だから、その、税金とは「世のため人のため」に払うものである、と。払った税金に対して自分に対する恩恵・恩賞・代償を求めるのは、それは基本的に納税倫理、あるいは納税の論理ではないっていうことが、やっぱり社会の共通認識にならないといけないと思う。
山田:そこのところが今ちょっと欠けている。
浜:完全にすっ飛んでます。
財務省さえも、自分たちの公表刊行物の中で「税金というのは社会に属するための会費のようなものであって」と書いてんですよ。それって全然違うですね。
税金払えなかったら社会の一員ではありえない、社会というクラブに入れないなんて、というのはこれは民主主義国家で基本的人権を守る国家においては許しがたいことですよね。
だから、やっぱりそういう意味で、まさにその会費を払えない人のために余計に払える人が払うってことなんですけども、
それを言うに「ふるさと納税」なんていうものを持ち出しちゃって、あれはショッピングですよね。⋯税金を払うってことはお買い物をすることではないんだっていうことを言うべき側が、耳心地のいいことになんとかすり替えようという中で、とんでもない話も出てきてしまったんだというふうに思います。